色覚における遺伝的多型と正常/異常論

私達の血液型は、O型、A型、B型、AB型 の4種類があります。どの型が正常でどの型が異常で、ということはありません。これを遺伝学的に「ポリモルフィズム(遺伝的多型)」と呼びます。色覚についてもまた同様に「ポリモルフィズム(遺伝的多型)」が存在しています。たとえばヨーロッパでは一般的色覚者の割合は、男性において、ほぼ90%から92%程でして、それ以外、他に多種類ある多型の色覚の保持者は8%から10%です。一般色覚者という呼称そのものも単に人数的にメジャーであるというところから来ているだけでして「正常」という意味合いを持ちません。本来、一般色覚者も含め全ての遺伝的多型に属する人々は互いに正常とか異常とかを区別される謂れはありません。わかりやすい比喩をひとつあげます。南米のインディオでは血液型がO型である人の割合が9割を超えます。そのような環境で輸血などの場合に不便・不利・特別扱いが必要だからと言ってA型やB型、もしくはAB型を「血液型異常者」と呼ぶ謂れがないことが、すぐにおわかり頂けることかと思われます。ところが学校や職場、社会では、色覚の多型の少数派にとって【特定の色と色の区別が難しい】ことを理由に色覚「異常」者や、色覚「障害」者の呼称をつけ社会的に「不適性」として排除する仕組みがあります。