思想信条の自由とアメリカ大統領選

私は思想信条の自由の絶対的な保障が民主国家には必要だと堅く信じています。また、一方において、宗教と政治の分離もまた必要不可欠であると堅く信じています。 また、宗教人が個人として政治家になることを禁止するべきだ、などという暴論を吐くつもりもありません。大事なことですが、特定宗教団体の意向を濃厚に政治に反映させる政党があってはならない、と思います。そんなスタンスで現時点で興奮状態のアメリカ大統領選について思うことをあれこれと書いてみます。

共和党の大統領候補がマケインになった時点で私は心底、ほっとしました。マケイン以外の有力な共和党側の立候補者は【すべて】選挙対策時点で外交スタッフに強烈な戦争右派の【ネオコン】を招き入れていたからです。このことは日本では報道されなかったどころか、朝日にいたっては、「ネオコンの影響力は消滅した云々」とかいう暢気な記事を出していました。でも事実は事実。マケイン以外では共和党は戦争政権の卵になること間違いなし、と考えられたのです。マケインが共和党で候補として選択されたときに、私はかなり安心したのです。マケインは一貫してどちらかというと中道派寄りで、右派との決別をつげられるだろうと。そうすれば仮に共和党が次期大統領を握ったとしても現在よりは戦争についてすこしはまともになるんじゃなかろうかと。そんな気がしたんですよ。

でもまぁ。民主党との戦いにおいて不利を悟ったのか、マケインはペイリンという奇怪な副大統領候補を選択しました。マケインの中道寄りイメージでは膨大な票を握っているアメリカの宗教右派勢力の支持を得られないというヨミがあったからでしょう。

ペイリンはキリスト教原理主義者です。進化論を信じていませんし、科学を攻撃します。 宇宙の歴史は聖書に書いてある通りであると主張します。 だから。 恐竜は人類とともにあったといいます。 ノアの箱舟の時代に馬鹿な恐竜は全地球的な洪水で溺れ死んだと主張します。 地球の歴史は、たかだか4000年だと信じています。ペイリンの属する右派教会勢力は、宇宙が早く終わることを毎日願っています。本気です。 この世界が終わるための条件として、エルサレムイスラエル支配下に置かれることが必須です。 わかりますか? 恐ろしさが。
そんな狂信者に核ミサイルのボタンを押す権利を与えられてはたまったものではない、というのが私の…ささやかな主張です。
なお、そういった宗教右派の支持者がアメリカのクリスチャンの4割を占めており、大統領選の事前投票で組織的な投票をしています。すでに事前投票が有権者の3割を越えていますが、そのうちのどれほどが組織的な宗教右派によるものなのでしょうか? オバマには狂信的な組織がないというのに。

報道よりも、実際には、マケインは不利ではないでしょう。いざ投票してみると反黒人の意見が反映されるのが今までの常だからです。私は本当に怖いです。ネオコン復権が。