錯誤

法律の錯誤と事実の錯誤

法律の錯誤
・・・法律を知らないだけ。処罰します!
事実の錯誤
・・・法律を正しく理解した上で、自分の行為は違法行為ではなないと考えた場合。処罰しません!

で、ここまでが今日の導入部分!ここからが本題なんですが、「法律の錯誤」、「事実の錯誤」といった場合、有名な判例があります。それが今回のタイトル、「むささび・もま事件」と「たぬき・むじな事件」です。前者は大正13年、後者は大正14年の判例ですから、随分昔のものです。しかし、刑法の教科書には絶対に載っているくらいの有名判例で、研究対象としても実に興味深いものです。

もまをむささびであると知らずに捕獲した行為が法律の錯誤とされた事例

まずは、「むささび・もま事件」・・・。

「むささび」は、捕獲が禁止されている動物です。Aさんは、この「むささび」を捕獲しました。そして、刑事事件へと発展したんですが、ややこしい事情がありました。Aさんの住んでいる地域では、「むささび」のことを「もま」と呼んでおり、Aさんは「俺は「もま」を捕まえるつもりだっただけで、「むささび」を捕まえるつもりはなかった!」・・・と無罪を主張したのです。

結果は、「法律の錯誤」で有罪。

たぬきをむじなと誤信して捕獲した行為が事実の錯誤とされた事例

では、次に「たぬき・むじな事件」・・・。

今度の被告人の名前は、Bさんとしましょう。Bさんは、法律で捕獲が禁止されている「たぬき」を捕らえました。しかし、Bさんは無罪を主張します。「私は、「むじな」を捕まえたんです!「たぬき」と「むじな」が同じものとは知りませんでした!」

結果は、「事実の錯誤」で無罪。

なんでやねん!

なんでやねんなんでやねんなんでやねん…

自分は…アホちゃいまんねんパーでんねん。退治するのに抗生物質が効いてしまうあわれな怪獣ペギラ。南極の苔から取れる抗生物質名=ペギミンH。

というぐらいにわかりません。

おおいに関連のある参考文献

AはBに恨みを抱き、Bを殺そうと思った。ある日歩いていたら、ちょうど目の前にBがいたので、持っていた拳銃で撃ち殺した。しかしそれは、Bではなく、全く別人のCだった。Aに殺人罪が成立するか?

Aは事実の錯誤をしています。では、殺人罪に関しては無罪なのか?はたして過失致死なのか?AはBに関して殺意を抱いたがCに関しては第三者。AはBを殺していないがCを殺してしまった。犯意と殺人の結果がすれちがっています。犯意と結果が一致した時に殺人罪の適用がなされるのではないでしょうか?結果は上記リンク先をお読み下さい。事実の錯誤であっても有罪です。

このほか、上記文献では、「刑事事件を見ていく際に、一般レベルの理解を超えた法律解釈が不可欠であること」について解説されています。陪審員制度を模倣して日本でも裁判員制度がまもなく始まるわけですが、このへんのすり合わせはどうするのでしょうかね?

余談

IT関連の法律もばんばん出てきつつある状況です。知らなかったではすまされません。(法の錯誤。)…俺著作権違反なんかしてねぇよ?とか思っていても、それは『事実の錯誤』ではすまされないかもしれません。

そういえば、国策逮捕が明らか事前にリーク発生、本来ありえない、逮捕時に報道が押し寄せたoffice氏の裁判では、事実認定では争わずにもっぱら法の解釈について争っていたような気がいたします。なにせ、はじめてのケースでしたから。結果として、ITの現場で働くものにとって、いかにも面妖な法解釈が誕生してしまったのでした。物質としての固体で構成される電子計算機が法で言う特定電子計算機になってしまったというものです。いや、違うだろうと、心から叫びたいですね。サービスごとに錠があり鍵がある、と考えないと実用的ではありません。現場では複数の機械でひとつの特定電子計算機を構成しているかもしれませんし、ひとつの機械で複数の特定電子計算機が作動していることも事実としてありますしね。法解釈をする側がコンピュータについて、特にソフトウェアとハードウェアの区別について知らないと大変なんです。不正アクセス禁止法はあの法解釈誕生で大きくゆがんでしまいました。officeさん事件以前に、警察内部に行き渡っていた不正アクセス禁止法の解釈に関する通達文言を読むと、くだんの法解釈は全然出ていません。むしろサービスごとの錠と鍵があるのだという立場でした。まぁ、立法時点ではそれを意図していたと考えてよいでしょう。

無関係な参考文献

IE6にオーバーフローによる不正なコード実行の未修正な脆弱性::Secuniaが発表(3/22)

Full-dosclosure別の人からの話題が載っていたと思ったやさきにSecuniaが不正なコード実行に成功したみたいですね。

対策としては信頼済みでないサイトを、IEJavaScriptなどが動くインターネットサイトゾーンでは見に行かない、ということにつきます。IEを使わないかインターネットサイトゾーンのセキュリティレベルを「高」に設定するかでしょう。私はしばらく勉強もかねてOperaにしてみます。

Secunia以外からも独立に情報が。容易に悪用されるみたいなので要注意でしょうかね。

ただたんにクラッシュさせるだけなら以下のコードで充分らしいです。今までよく露呈しなかったなぁ…

<input type="checkbox" id="blah">
<script>
   var r=document.getElementById('blah').createTextRange();
</script>