靖国神社あれこれ

起源

幕末から明治にかけて天皇側についた薩長中心の戦死者を祀る為に誕生。幕府側の戦死者は逆賊であるので無視。天皇の為に戦死する「王事」により祀られることになる。神道の体裁を取ってはいるが近世になって急に勃興した政治的な存在として誕生。後に伊勢神宮以下の神社は内務省管轄であるが靖国神社だけは軍部管轄となったことからもわかる通り神社としての役割よりも軍政全体主義天皇中心イデオロギーの政治的機関、「天皇の為に戦死」を美化する為の特殊な宗教的施設となっていったことがわかる。

靖国神社のイデオロギー

古来からの神道にみられる日本の伝統とは無縁。明治から第二次世界大戦終結までの限定された時代における天皇三代に命を捧げる御霊の慰霊、帝国主義的膨張主義のイデオロギーの美化。

靖国神社内遊就館(宝物殿)

何を宝物(ほうもつ)としているのか。

日清、日露、日独の戦利記念品や、乃木将軍の最期を忍ぶ血染めの軍服、近くは満州事変や上海事変の戦利品

靖国神社遊就館ホームページから宝物と思われるもの、あるいは展示されているものを拾ってみる。靖国神社に保存されている兵士の遺書や遺品、零式艦上戦闘機52型などを展示。軍刀、大砲、九七式中戦車、艦上爆撃機「彗星」、軍艦模型、日露戦争勝利作戦図、ロケット特攻機桜花、人間魚雷回天、女子挺身隊血染めの日章旗・・・・戦利品と軍事兵器が宝物ですか。

靖国は平和を祈念しているのか

物的証拠から見るに平和を祈念しているとは思えません。明治以来3代の天皇中心の軍国主義を賛美しているにすぎません。

首相という肩書きつきで参拝をしているようですが、これでは隣国が警戒するのも無理はありません。私達日本人は隣国の人々が歴史の真相について何も知らされていないのだと笑える立場ではありません。彼らと同じように日本人もまた、何も知らないのです。靖国神社への首相参拝が宗教と政治の分離という憲法に抵触するから駄目なのだ、という論理ではちょっと弱いでしょうね。本質ではない。現首相が【天皇の為に戦死することが祀られる条件】である神社を参拝していることが問題なのです。

実在しないストーリー

現ドイツの首相が国立のナチス平和記念館に毎年公式訪問している。ナチス平和記念館にはハーケンクロイツの旗がきらびやかにはためいており、ドイツ帝国の誕生からヨーロッパ諸国の侵略併合に至るまでの歴史が正当化されて納められており、ヒトラーの御真影が大々的に飾られている。ヨーロッパを共産主義とユダヤ民族から解放する為の聖なる戦いをナチスひきいるドイツ帝国が推進したのだと喧伝している。

記念館ではドイツ民族の戦死者が祀られている。ポーランドチェコなどドイツに併合された民族が戦死しても無視である。ましてや敵国戦死者や虐殺された民族のことなどオクビにも出さない。

戦争で使われた兵器も多数展示され、ナチスの科学の先進性優秀性が語られ、アーリア民族の世界席巻の必要性が語られ・・・ガス室模型が展示され・・・そして現ドイツ首相は記念館の意義を褒め称え、今後も毎年国事として訪問することを誓うのであった。尊い戦死者の霊を弔うために。だがその戦死者とはどの戦死者だ?第三帝国の為に散った戦死者のみが対象なのだ。・・これは実在しないストーリーである。少なくともヨーロッパにおいては・・・・ありえないのだ。