量子力学の基礎のさらなる発展に期待する

私が学生時代に量子力学について講義を受けたとき、量子力学では測定の過程については論じてはいけないと習いました。なんたること!
しかし、今や一般化測定について物理的にも数学的にも厳密な定式化が完了していますから、上のように習ったならば「先生、それは違います」と突っ込む学生さんも居ても不思議ではありませんね。その学生さんがことの深遠さを解っているかどうかは別ですけれど。
すでに工学的に測定理論の応用は始まっていますし、日常生活にもいつの日にか近い将来、なじみある道具に使われるようになるに違いありません。すばらしい時代に生まれたものです。
その昔、さまざまな実装のコンピュータが誕生した時、いったいこいつらの性能評価はどうしたら良いのだ?という課題がありました。そこでチューリングマシンが登場したわけです。われわれが使っているコンピュータでチューリングマシンをエミュレート可能ですし、逆に、チューリングマシンは我々のコンピュータをエミュレート可能です。チューリングマシンは数学的に厳密に評価できますから、計算機理論の主役に抜擢され、私たちの生活に影響を与えています。
量子力学における「実験・測定」も、さまざまな実装がありますが、コンピュータにおけるチューリングマシンのように、「測定」における「一般化測定」が定式化されています。完全正値インストルメントでモデルを作ればよいのです。
故人となった量子力学建設者さんたちの皆さんはこの結果をどのように受け止めることでしょう!