ノーム・チョムスキーのバラク・オバマ観

現代思想2009年3月号では、就任直後のタイミングであるにも関わらずオバマ米大統領についての特集が載っていました。(アメリカを代表する良心派である)言語学者ノーム・チョムスキーによる寄稿では、オバマ大統領の中東政策について要領の良い批評があり、私には大変にわかりやすいものでした。
結果、私はチョムスキーが感じ、分析した、オバマ大統領への失望を共有することになりました。残念ながら、中東問題が、オバマ大統領在任中に解決できる可能性は恐らく非常に低いと言わざるを得ないかもしれません。
オバマ大統領の政策の基本は、あくまでも米国内のユダヤロビーを刺激しないようにとの原則に従っていると私には思われます。このため、パレスチナ国家の樹立への具体的な展望を掲げません。イスラエルと、完全に自主独立なパレスチナ国家との間での平和的共存を目指さない限り、あの地域での解決は難しいでしょう。このことは米政府もわかっていそうなものなのですが・・・残念なことです。
アメリカの国内法で禁じられているはずの、イスラエルによるアメリカ製兵器の使用が堂々とまかりとおっており、その兵器がパレスチナ・アラブの女性・子供・老人への無差別攻撃に使われている限り、パレスチナは交渉のテーブルにつかないことでしょう。アメリカもまた、テーブルにつく資格がないことでしょう。
チョムスキーの分析を超える政策をオバマ大統領が実施するきざしは今のところまったく見えてきません。