量子的な微分・積分
『量子的な微分・積分』という本をみつけました。大森 英樹 (著), 前田 吉昭 (著) 。
拡張された、演算子的に見た微分積分の代数(ワイル空間)には、量子論が内包されている、この方向での研究が深化しなければ、一般相対論の幾何学を量子化できるはずもない、我々はワイル空間の中にいるのだ、というようなことが書いてあります。すごい。たとえば、ワイル空間の中にはフェルミオン量子が自然にはいってきているようです。
勘違いを多量に含む私見を以下に。現在の物理学は古典的な微分積分で時間発展を表記しています。著者の数学者である大森先生、前田先生は、このままじゃだめだとおっしゃっているかのようです。私なりの将来へ向けてのひとつの疑問ですが、微視的な量子世界の記述と巨視的な古典世界の記述とのスコープの折り合いをどうつけていくのか、その方法の発見がテーマですね。もっとも深刻に顕在化しているもののひとつは、量子論理の命題をいくらたくさん積み重ねても古典論理が出てこないという深い断絶ですね。量子的な微分積分の進化からこのへんが導出されるのでしょうか。期待したいところです。我々の住むこの宇宙が古典的微分積分を選択せずに量子的微分積分を選んでいるのであるならば大層素敵なことです。…私が生きているうちに面白いことが出てくるといいなぁ。ついに出た統一量子場理論は古典的微積分では表現されなかった、みたいな。