四元数とローレンツ変換

ものの本によれば、『ノルムが1である単位四元数は3次元直行座標系の間の直行変換を記述する』のだそうです。

さて、『ハミルトンと四元数 人・数の体系・応用』(ISBN 978-4-87525-243-6)という本には、拡大四元数という概念が提唱されていまして、これから綺麗にローレンツ変換が出てきてしまっています。よくわかりませんが、『ノルムが1である単位拡大四元数は四次元ミンコフスキー空間の座標系の間のローレンツ変換を記述する』ということを意味しているかもしれません。実際にはどうなのかについては、上記の本を読んで頂きたいと存じます。拡大四元数とは以下のとおりです。

w, x, y, z を実数とします。 複素数虚数単位を『ι(ギリシャ文字のイオタ)』で表現します。 任意の複素数は、a, b を実数とすれば、a + ιb で表現されます。 また、i, j, k については、標準の四元数と同じ表記を使います。 拡大された四元数とは、
w + ι( ix + jy + kz )
です。なお、ιとi,j,kとの間に特別な演算規則はありません。ご明察の通り、wの意味するココロは、w=ctです。

このような単純な仕組みから自然にローレンツ変換が出てくることが私には不思議でたまりません。また、幾何学的な意味を探っていけば、恐らく直観的なトーマス歳差の理解も拡大四元数から直接的に出てきます。(スピノールの理解に結びつくかな?)なお、ここではトーマス歳差とは、ローレンツ変換を繰り返すことで空間的な回転が生まれることを言っています。

まことに不思議このうえないのですが、深いレベルでは当然なのであって、ことさら新しい物理像は出てこないのかもしれませんけれども…拡大四元数には本当に驚きました。マクスウェルが知っていたら電磁方程式の記述方法が変わっていたかもしれません。(マクスウェルは*通常の*四元数を使いました。)