なくてもよい腱

おちゃめな手術

あなたは事故にあったとします。なにやら腱が損傷。外科手術が必要です。以下はお茶目なお医者さんのオハナシ。

まずお医者さんは、全身麻酔で意識不明のあなたのケガの部分を切開します。

「よーし、開いたぞ。レントゲンどおりだ。一本がぼろぼろ。やはり移植だな、こりゃ。」

そして、あなたに残された健康な腱を移植するために、あなたの左手首を切開しました。そこにある腱を取り外して、問題の損傷した腱にかわってつなげるのです。こういった場合の定石ですね。手首には取っても構わない、未使用の腱があるのです。なくても平気なのですね。だから移植に。

「よーし、手首を開いたぞ。」
「せ、せんせい! 腱が!腱がありません!」
「なにぃ?」

お医者さまは事前にあなたの手首にちゃんと腱があるのかどうか調べておかなかったのです。ごくまれにこういった人はいますので、気をつけなくてはいけなかったのです。残念でした。

あなたはこの腱をもっていますか

人は誰しもこの使っていない腱をもっているはずだったのです。あなたが持っているかどうかを検査してみませんか。簡単な検査です。持っていない人は、だいだい、500人か1000人について、おひとりぐらいはいるのだそうです。え?わたし?ありましたよ。

まず、片腕の手のひらを顔の前におきます。次に、その手の親指の先と小指の先とをくっつけます。その際、できるだけ、他の三本の指はまっすぐにしておいてください。そして手首をみます。なにやら一本、筋(スジ)が浮いてきていませんか?それです。 わかりにくければ、さらに、手のひらを顔に向かって折り曲げてください。よりクッキリと筋(スジ)が浮いてきます。

このスジがない人、どうしたらよいでしょう?あなたは、統計的に少数派の人間でしたか? でも心配いりません。そもそもこのスジがなくてもスポーツそのほか、何もハンデがありません。現にあなたは今までなにも不自由を感じなかったはずですし。 進化の上でとっくの昔に退化して使っていないスジなのですよね。 (でなければ、さきほどの簡単な検査でスジが浮かび上がってきません。他に使われている手首のスジはしっかりと筋肉と連動しているので浮かび上がってこずに働いています。)

あ〜。でも、超太っていてスジが浮かんでいるのかどうかわからないケースもあるのかなぁ。